国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IFRS Developments

IASBによる投資企業に関する例外規定についての追加的なガイダンスの提案

2014.06.23
重要ポイント
  • IASBは、IFRS第10号に定められる投資企業に関する例外規定の適用を明確化するため、IFRS第10号とIAS第28号の改訂を提案するEDを公表した。
  • EDは以下の3つの論点を取り上げている。
    • (i) 投資企業の子会社の連結財務諸表作成免除
    • (ii) 投資企業である親会社における、投資サービスも提供する投資企業である子会社に対する会計処理
    • (iii) 非投資企業による、投資企業である投資先ジョイント・ベンチャー又は関連会社に対する持分法の適用
  • 発効日は決定していないが、早期適用は認められる。
  • コメント提出期限は2014年9月15日である。

概要

国際会計基準審議会(以下、IASB)は2014年6月11日、公開草案(ED)「投資企業:連結の例外規定の適用(IFRS第10号及びIAS第28号の改訂)」を公表した。EDはIFRS第10号「連結財務諸表」と、IAS第28号「関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資」の改訂を提案している。同改訂が行われた場合、IFRS第10号の投資企業に対する例外規定に関連して生じた論点が解消される。

  • 連結財務諸表の作成免除:EDは、連結財務諸表の作成免除措置は、投資企業である親会社の子会社である非投資企業の中間親会社にも適用されることを明確にすることを提案している。
  • 親会社の投資活動に関係するサービスを提供する子会社:EDは、投資企業である親会社は、親会社に投資サービスも提供している投資企業である子会社については純損益を通じて公正価値で測定することを提案している。
  • 非投資企業による、投資企業である投資先ジョイント・ベンチャー又は関連会社に対する持分法の適用:EDは、投資企業である関連会社への持分を有する非投資企業である投資者は、持分を適用する際、当該投資企業である関連会社が、その子会社への持分に対して適用した公正価値測定を維持すべきことを明確にする提案を行っている。EDはまた、投資企業であるジョイント・ベンチャーへの持分を有する、非投資企業である投資者が持分法を適用するにあたっては、当該投資企業であるジョイント・ベンチャーが、その子会社への持分に対して適用した公正価値測定を維持しないことを提案している。

連結財務諸表作成からの免除

実務で広く生じた論点として、IFRS第10号第4項(a)(iv)の連結財務諸表からの免除措置が、投資企業である親会社の子会社である投資企業ではない中間親会社にも適用されるのかという点がある(なお、同項の(a)(i)から(iii)に定められるその他の規定はすべて満たされているものとする)。

IASBは、投資企業である親会社が、子会社への持分を公正価値で測定する場合、「伝統的な」連結財務諸表が提供されない場合であっても、IFRS第12号「他の事業体への関与の開示」、IFRS第7号「金融商品:開示」、及びIFRS第13号「公正価値測定」に定められる開示によって、財務諸表の利用者に十分な目的適合的な情報が提供されるため、当該親会社が現在のIFRS第10号の下で投資企業に分類されるというだけで、投資企業に分類されることのない中間親会社に連結財務諸表の作成に関し新たなコストが発生してよいということにはならないと指摘した。したがってIFRS第10号の改訂案では、連結財務諸表作成の免除措置は、投資企業である親会社の子会社である中間親会社にも適用されることが明確にされている。

EDはまた、投資企業である親会社の子会社が保有する、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの持分に対する持分法の適用につき免除措置が与えられるよう、IAS第28号第17項を改訂することを提案している。

親会社の投資活動に関係するサービスを提供する子会社

投資企業は、IFRS第10号第31項に従って子会社に対する投資は公正価値で測定しなければならない。この原則に対する限られた範囲の例外規定として、IFRS第10号第32項は、投資企業に対して、当該投資企業の投資活動に関係するサービスを提供する子会社については、これを連結することを求めている。ここで、IFRS解釈指針委員会は、子会社自身が投資企業の定義を満たし、かつ投資サービスを提供するとき、投資企業である親会社は当該子会社をどのように会計処理すべきか、すなわち子会社を公正価値で測定すべきか、それとも連結すべきかについて照会を受けた。

今回のIFRS第10号の改訂案は、親会社である投資企業は、投資企業である子会社については、当該子会社が投資サービスを提供しているか否かにかかわらず、すべて公正価値で測定することを要求している。

同改訂案によれば、投資企業は、子会社自身が投資企業の要件を満たさず、かつ当該子会社の主要な目的が投資企業である親会社の投資活動に関係する支援サービスを提供する場合にのみ、当該子会社を連結することになる。

弊社のコメント

EYは、投資企業である子会社の公正価値を算定することは実務上困難な場合があり、また、投資サービス活動についての情報が失われる結果になりかねない点を懸念している。

非投資企業による、投資企業である投資先ジョイント・ベンチャー又は関連会社に対する持分法の適用

IFRS第10号では、投資企業ではない親会社は、投資企業である子会社が保有する、その子会社(すなわち孫会社)への持分に適用する公正価値測定を維持(又はロールアップ)することができない。その場合、投資企業ではない親会社は、グループの子会社をすべて連結しなければならない。

一方、IAS第28号には、投資企業に該当するジョイント・ベンチャー又は関連会社に対する非投資企業である投資者による持分法の適用に関して同等の規定が定められていないことから、投資企業であるジョイント・ベンチャー又は関連会社が適用する公正価値測定を維持すべきなのかについて疑問が生じる。

IAS第28号の改訂案により、非投資企業である投資者が、投資企業である関連会社への投資に持分法を適用する場合、投資者は、投資企業である関連会社が、その子会社への持分に対して適用する公正価値測定を維持しなければならないことが明確になる。

逆に言えば、非投資企業である投資者が持分法を、投資企業であるジョイント・ベンチャーに対する投資に適用する場合、投資者は、投資企業であるジョイント・ベンチャーが、その子会社への持分に適用する公正価値測定は維持してはならないことになる。

この提案に至るにあたり、IASBは、投資企業である関連会社とジョイント・ベンチャーは、概念的には、ともに非投資企業である投資者が持分法を適用する前に公正価値会計を振り戻しておくべきものである点に留意した。しかし、IASBは、関連会社の投資者は投資を支配しておらず、実際に公正価値会計を振り戻すのに必要となる情報を投資者が入手するのは困難であると指摘した。それに対して、投資者は、投資先ジョイント・ベンチャーに対する共同支配を有していることから、必然的に当該ジョイント・ベンチャーの財務諸表を調整するうえで必要な情報を入手できる能力を有していることになる。

弊社のコメント

IFRS第10号及びIAS第28号の投資企業の原則、及び会計処理が明確になることにより、関係者は、これらの基準を一層の一貫性をもって適用することができるようになる。

経過規定

これらの改訂は、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って将来に向けて適用される。なお早期適用も認められる。

次のステップ

コメント募集期限は2014年9月15日である。EYは、各関係者がコメント・レターを通じてIASBに対して意見を寄せることにより、IASBがこれらの論点に対して包括的かつ堅牢な議論を進めるように促すことが有用ではないかと考えている。

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