国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IFRS Developments

IASBが投資企業の連結の例外に対する改訂を公表

2015.01.09
重要ポイント
  • 2014年12月、IASBがIFRS第10号、IFRS第12号及びIAS第28号に対する改訂を公表した。
  • これらの改訂により、投資企業の連結の例外を適用する際に生じる3つの実務上の問題点が解消される。
  • 本改訂は2016年1月1日以降開始する事業年度から遡及適用される。

概要

2014年12月18日、国際会計基準審議会(以下、IASB)は「投資企業:連結の例外の適用(IFRS第10号、IFRS第12号及びIAS第28号の改訂)」を公表した。本改訂により、IFRS第10号「連結財務諸表」に定められる投資企業の例外を適用する際に生じていた以下のような問題点が解消されることになる。

  • 連結財務諸表の作成の免除:
    本改訂により、連結財務諸表の作成の免除は、投資企業がその子会社のすべてを公正価値で測定している場合における、その投資企業の子会社である親会社に対しても適用されることが明確化される。
  • 投資企業の投資活動に関係するサービスを提供する子会社:
    本改訂により、子会社自体が投資企業ではなく、かつ投資企業にサービスを提供する子会社のみが、連結されるということが明確化される。投資企業のその他のすべての子会社は公正価値で測定される。
  • 投資企業である関連会社又は共同支配企業に対する持分を有する非投資企業による持分法の適用:
    IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の改訂により、投資者は、持分法を適用する際、投資企業である関連会社又は共同支配企業がその子会社に対する持分に対して適用した公正価値測定をそのまま維持することができるようになる。

連結財務諸表の作成の免除

IASBは、投資企業の子会社である親会社は、投資企業がその子会社のすべてを公正価値で測定している場合にも(かつ、第4項(a)のその他のすべての条件も満たされている場合に)、IFRS第10号第4項(a)に定められる連結財務諸表の作成の免除を適用できるということを明確にするよう、IFRS第10号を改訂した。

IASBは、この中間親会社に対する連結財務諸表の作成の免除が規定されているのは、第4項(a)の条件を満たす場合には、それぞれの中間親会社が連結財務諸表を作成することによるコストがその便益を上回ることとなるためであることに留意した。また、IASBは、投資企業が子会社に対する持分を公正価値で測定する場合には、IFRS第12号「他の企業への関与の開示」に定められる開示が、IFRS第7号「金融商品:開示」及びIFRS第13号「公正価値測定」に定められる開示により補足されることになると考えた。したがって、IASBは、こうした情報の組合せは、投資企業の子会社である親会社に対しても連結財務諸表の作成の免除規定を保持する十分な根拠になると判断した。

IASBはまた、(IFRS第10号第4項(a)と同じ要件を規定する)IAS第28号第17項も改訂し、投資企業の子会社であり、関連会社及び共同支配企業に対する持分を有する企業に対しても、持分法の適用に関する同様の免除規定を認めることにした。

IFRS第12号の派生的な改訂

IASBは、IFRS第12号でも派生的な改訂を行い、IFRS第12号が投資企業にも適用されることを明確化した。第6項(b)が改訂されたことで、作成する財務諸表においてその子会社のすべてをIFRS第9号に従って純損益を通じて公正価値で測定する投資企業は、IFRS第12号で求められる投資企業に関する開示を行わなければならないことが明確となった。

投資企業の投資活動に関係するサービスを提供する子会社

IFRS第10号第31項により、投資企業は子会社に対する投資をIFRS第9号「金融商品」に従って純損益を通じて公正価値で測定しなければならない。IASBは、この規定に関する例外として、その子会社自体が投資企業には該当せず、その子会社が投資企業の活動に関係するサービスを提供することで投資企業の延長としてその行為を行う場合にのみ、投資企業はその子会社を連結することを明確にした。それ自体が投資企業であるすべての子会社は、純損益を通じて公正価値で測定される。

投資企業である関連会社又は共同支配企業に対する持分を有する非投資企業による持分法の適用

IFRS解釈指針委員会(以下、委員会)は、非投資企業である親会社が、その有する投資企業である関連会社又は共同支配企業に対する投資を持分法で会計処理する際に、どのように処理すべきかを明確にして欲しいとの要請を受けた。投資企業である関連会社又は共同支配企業はその子会社に対しては公正価値測定を適用するが、非投資企業である親会社は、関連会社又は共同支配企業に対して持分法を適用するために、既に行われていた公正価値会計を振り戻したうえで改めて、連結手続を適用する必要があるかどうかについて明確ではなかった。統一の会計方針を用いることを定めたIAS第28号の規定により、投資企業である関連会社及び共同支配企業に対して持分法を適用する前に、その子会社は関連会社及び共同支配企業によって連結されることになると解釈する者もおり、こうした状況はさらに複雑なものとなった。委員会により、この問題はIASBに付議された。IASBはこの論点を審議するにあたり、投資企業である関連会社又は共同支配企業の公正価値会計の振戻しを行う際の、実務的な実行可能性とその関連コストについて懸念した。

その結果、IAS第28号は改訂され、企業自体が投資企業ではなく、かつ投資企業である関連会社又は共同支配企業に対する持分を有する企業は、投資企業である関連会社又は共同支配企業がその子会社に対する持分に適用した公正価値測定をそのまま維持することが可能になった(強制はされない)。

発効日及び経過措置

これらの改訂は、2016年1月1日以後開始する事業年度から適用される。また早期適用も容認される。

この改訂は、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及適用しなければならない。ただし、IFRS第10号に対する改訂を初めて適用する場合に、IAS第8号第28項(f)により求められる定量的情報は、当初適用日直前の事業年度に関してのみ開示すればよい。

弊社のコメント

投資企業の例外に関するIFRS第10号及びIAS第28号の改訂は、財務諸表作成者が当該基準をより一貫性をもって適用することができるようにする有用な明確化であるといえる。しかし、我々は、実務においてマルチ・レイヤー(多層)構造を有する企業グループ内で、投資企業を識別することは、それでもなお困難であると考えている。したがって、作成者は引き続き十分に検討した上で適切な処理方法を決定する必要がある。


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