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シリーズ 学校法人会計基準の今後を考える

第4回:財務3表改正の方向性のポイント
-学校法人会計基準の在り方に関する検討会について(文科省)-

2012.12.26

平成24年12月6日までに、平成24年度学校法人会計基準の在り方に関する検討会(以下、検討会)の第6回までが開催され、基本3表である、資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表の様式と、学校法人会計におけるその他の論点について議論が行われました。

今回は、この財務3表について、第6回までの議論を踏まえて解説します。

参考:第6回検討会の財務3表様式の改正案イメージ
(文部科学省の公式ウェブサイトへ)

① 資金収支計算書

  • 現行の資金収支計算書、資金収支内訳表、人件費支出内訳表の体系は維持
  • 活動区分ごとの資金の流れを示す区分計算については、新たに 「活動区分別資金収支表」 を導入

検討会の第3回までは、資金収支計算書に教育研究事業活動、施設等整備活動、財務活動の3つの区分を設け、各区分に収入、支出、収支差額を表示する様式が提示されていましたが、現行の資金収支計算書、資金収支内訳表、人件費支出内訳表の体系は補助金配分の基礎資料として位置付けられており、学校法人における予算管理のツールとして実務に浸透している面を考慮し、前記の現行の収支計算書の体系は維持することとし、活動区分ごとの資金の流れは、別途、追加で「活動区分別資金収支表」を作成する案が検討されています。

この活動区分別資金収支表は、法人全体のみで作成されるもので、私学部長通知では、従来は資金収支計算書および消費収支計算書の情報公開が求められていましたが、今後は資金収支計算書、活動区分別資金収支表の公開が想定されています。

活動区分別資金収支表は、法人全体の資金収支計算書を教育研究事業活動、施設等整備活動、財務活動の3つの区分に組み替えて作成する様式であり、部門別計算までは求められていないため、決算作業の中で対応することが想定されています。しかし、一方で現行の資金収支調整勘定による調整計算が区分ごとになされる様式になっており、作成に際しては資金収支調整勘定(未収入金、未払金など)の内容を活動区分ごとに把握することが必要になると考えられます。

② 消費収支計算書

  • 「事業活動計算書」へ名称変更
  • 収支の区分が計算書類の様式案として具体的に反映

<事業活動計算書と事業活動内訳表>

第6回の検討会で提示された消費収支計算書では、「事業活動計算書」と名称が変更され、消費支出準備金は廃止の方向で検討されています。
なお、事業活動計算書の内訳表である事業活動内訳表では、部門別収支も事業活動計算書の区分に合わせて作成することになっています。補助金や寄付金など、経常収支と特別収支に区分される勘定科目もあるため、システムの対応のみならず、日常の経理業務における仕訳対応など、適用に向けた準備が必要となる可能性があります。

<基本金組入額の取扱いについて>

第6回の検討会で提示された案では、基本金組入額はいわゆる「帰属収支差額」に当たる「当年度収支差額」の下で控除される様式となっています。

現行基準において、帰属収支差額の表示はなく消費収支差額のみが表示されるのは、学校法人が限られた収入財源の中で、まず固定資産の新規購入や取替更新資金を準備し、次に残額を各年度の人件費や経費に予算配分するという考えに基づくためです。この方法により、教育に必要な資産を維持し、もって教育の永続性を担保しているといえます。つまり、帰属収入から経費等のみを差し引く帰属収支差額は表示しないのではなく、学術的には存在そのものがないというほうが適当でしょう。

ただし、一方で、実務においては帰属収支差額が認知され、実際の経営指標として使用されていることも事実であり、これを受けて、改正基準においても帰属収支差額に相当する当年度収支差額を表示するよう改正されています。しかし、このような改正をする以上は、消費収支差額に相当する基本金組入後当年度収支差額との位置付けや意味合いを、教育の永続性という視点に立って、いかに解釈し、説明すべきかを検討する必要があるでしょう。

③ 貸借対照表

  • 第4号基本金引当特定資産の設定の検討
  • ソフトウェア科目の例示の追加

貸借対照表については、第4号基本金引当特定資産の設定が、科目例示案として織り込まれました。この第4号基本金引当特定資産は、恒常的に保持すべき資金に対応した資産を拘束することを政策的に求めるものと考えられます。特定資産として計上できない場合には、学校法人の支払資金の安定性に疑義があると考え、継続法人の前提とも関係して、その事実と対応を計算書類の注記もしくは事業報告の記載を求めるといった考え方が提示されています。

そのほか、学校法人会計基準の改正により、学校法人においてもソフトウェアの計上がなされることになったことから、その他の固定資産の小科目の例示としてソフトウェアが追加されています。

詳細は、以下のウェブサイトに掲載されています。

文部科学省の公式ウェブサイトへ


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