サービス
新地方公営企業会計のポイント解説

第5回:補助金等について

2012.10.16
新日本有限責任監査法人 公認会計士 松浦浩一郎

1. 改正の背景

現行制度におけるみなし償却制度については、以下のデメリットが指摘されてきました。

<旧みなし償却制度によるデメリット>

  • 償却資産について、補助金等を充当した部分については減価償却が行われない。このため、時の経過や使用による価値の低下が資産価値に反映されないほか、それに係るコストが明らかにならない。
  • みなし償却制度は適用が任意のため、地方公営企業間の財政および経営状態の比較を困難にしている。

2. 改正の内容

主な改正の内容は以下のとおりです。

  1. 任意適用としていた「みなし償却制度」を廃止。
  2. 償却資産の取得または改良に充てるために補助金等の交付を受けた場合は、その金額を長期前受金(負債)として計上。
  3. 減価償却に従い、長期前受金(負債)から長期前受金戻入(収益)に振替。

3. 補助金等の改正による影響

以下、簡単な設例により説明します。

(1)設例

国庫補助金により固定資産500を購入。固定資産の経済的耐用年数は5年で、耐用年数経過後の売却額は0と見積もられた(※)。購入から2年後に除却した。

なお、旧会計においては、みなし償却資産に係る除却損について、資本剰余金を取り崩してうめることができる旨、条例において定めていたものとする。

※ 当設例では、設例簡素化の観点から、残存価額の見積もりをゼロとしています。

(2)会計処理

  旧会計 新会計
  借方 貸方 借方 貸方
購入時 固定資産500 資本剰余金500 固定資産500 長期前受金500
減価償却時 仕訳なし 減価償却費100 減価償却累計額100
長期前受金収益化累計額100 長期前受金戻入100
除却時 資本剰余金500 固定資産500 減価償却累計額200 固定資産500
固定資産除却損300
長期前受金収益化累計額300 長期前受金戻入300
長期前受金500 長期前受金収益化累計額500

新会計制度では、損益計算書において補助金等を財源とする部分についても減価償却費が計上されます。

なお、補助金等は、減価償却の都度、収益計上されるので、現行会計制度において、みなし償却を行っていた場合、新制度になっても基本的に利益に影響はありません。

(「第6回:たな卸資産の価額」へ続く)

情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?