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新地方公会計制度解説

第3回:貸借対照表(資産)

2015.02.09
地方自治体支援室 公認会計士 伊澤賢司
公認会計士 久保田康仁
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本シリーズでの第1回では、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」(以下「報告書」という。)のポイント、第2回では、統一基準の基礎概念と財務書類の体系について述べました。第3回以降は、個別論点について解説します。今回は、貸借対照表(資産)について詳解します。

1. 貸借対照表の作成目的

貸借対照表は、財務書類を構成する書類であり、基準日時点における地方公共団体の財政状態(資産・負債・純資産の残高および内訳)を明らかにすることを目的として作成されます(報告書第62段落)。
財務書類のうち、基準日時点のストック情報を表す書類としての機能を有しています。

2. 構成項目

貸借対照表は資産・負債及び純資産によって構成されます。

資産とは、「過去の事象の結果として、特定の会計主体が支配するものであって、将来の経済的便益が当該会計主体に流入すると期待される資源、または当該会計主体の目的に直接もしくは間接的に資する潜在的なサービス提供能力を伴うものをいう」とされています(報告書第38段落)。

地方公共団体は公的主体であり、企業と異なり、必ずしも利益の獲得を目的としていないことから、収益獲得には貢献しないものの、住民へのサービス提供のために必要不可欠な資産を多く保有しています。公的機関においては将来の経済的便益(お金)の獲得能力のみで資産性を判断するのは適切でなく、サービス提供能力についても資産性の要件として認めています(例えば、市庁舎自体は営利活動を行っていないので、お金を生み出しませんが、市役所としての行政サービスを提供することができるため、資産として計上されます)。

貸借対照表は、その名が示すとおり、資産と負債・純資産を対照して見せることで、財務の健全度合いを一覧する書類です。公共資産(様式上は、主に有形固定資産)によって、将来に引き継ぐ社会資本の残高が明らかになり、投資その他の資産や流動資産によって、債務返済のためにどの程度の資産があるのかが明らかになります。一方、負債によって、返済が必要な借金等の残高(将来世代の負担)が明らかになります。また、純資産によって、これまでの世代の負担の残高が明らかになります。

貸借対照表の様式と、貸借対照表の機能(イメージ)を下記に示します。

◆貸借対照表の様式

(下の図をクリックするとPDFファイルが開きます)
(出典:財務書類作成要領【様式第1号】)

◆貸借対照表の機能(イメージ)

(下の図をクリックすると拡大します)

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