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新地方公会計制度解説

第5回:行政コスト計算書・純資産変動計算書

2015.04.21
地方自治体支援室 公認会計士 伊澤賢司
公認会計士 久保田康仁
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本シリーズ第1回では、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」(以下「報告書」という。)のポイント、第2回では、統一基準の基礎概念と財務書類の体系について、第3回以降は、個別論点について解説しています。
第4回では、貸借対照表(負債・純資産)について解説しました。今回は、行政コスト計算書および純資産変動計算書について解説します。

1. 行政コスト計算書

(1) 行政コスト計算書の作成目的

行政コスト計算書は、会計期間中の地方公共団体の費用・収益の取引高を明らかにすることを目的として作成されます(報告書第152段落)。

(2) 行政コスト計算書の科目構成と内容

行政コスト計算書の科目は以下のような構成と内容です。

◆行政コスト計算書の科目構成・内容
(下の図をクリックすると拡大します)

  • 費用
    費用とは、「一会計期間の活動のために費消された、資産の流出もしくは減損、または負債の発生の形による経済的便益またはサービス提供能力の減少であって、純資産の減少原因をいう」とされています(報告書第41段落)。
    上記定義は「発生主義※1 」により費用を認識すべきことを示しており、現金支出を伴わない減価償却費や引当金繰入額についても上記定義を満たすものとして、費用として計上されます。
  • 収益と財源
    収益とは、「一会計期間中における活動の成果として、資産の流入もしくは増加、または負債の減少の形による経済的便益またはサービス提供能力の増加であって、純資産の増加原因をいう」とされています(報告書第42段落)。受益者負担により徴収している使用料等については収益として計上します(報告書参考資料(以下「参考資料」という。)P.203)。
    一方、税収や補助金収入は、直接的な対価性のない収入※2 であるため、収益ではなく、純資産変動計算書の「財源」として計上されます。
【注記】
  • ※1 発生主義には、①どのタイミングで取引事象を認識すべきかという観点と、②どのような範囲の取引事象を認識すべきかという観点の、2つの異なる側面があるとされています。特に地方公会計においては、すべての経済資源を認識するという②の観点が重要とされています。なぜならば、地方公共団体が資産・負債管理というストック面から有効・適切な財政運営を行っていくためには、すべての経済資源を認識し、貸借対照表上で資産、負債及び純資産として計上する必要があるものの、従来の現金主義の下では、単に資産の一部を構成する現金しか認識されていなかったためです(報告書第49段落)。
  • ※2 税収や補助金収入等は、地方公共団体の「活動の成果として」受け取るものではないため、報告書第42段落の収益の定義を満たしません。なお、国の公会計においても、税収は、行政コスト計算書に相当する業務費用計算書に計上せず、資産負債差額増減計算書「財源」の内訳として計上されています(参考資料P.203)。

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