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国立大学法人会計基準等

国立大学法人会計基準等の改訂について(第2回)

2012.04.27

1. はじめに

前回の解説に引き続き、平成24年3月に改訂された「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「実務指針」という)について、実務上の観点から要請された改訂内容について解説します。

2. 実務上の観点から要請されたもの

(1)特定償却資産や土地の売却に係る会計処理(Q27-5)

【改訂の背景】

独法では、不要財産の国庫納付等に係る会計処理が定められることとなり、関係するQAがすでに改訂されていましたが、国大等においても改訂の必要性について検討されました。

【改訂の概要】

  • 特定償却資産(基準第84の適用がある資産。以下、同じ)を処分する場合、従来は、資産処分収入をもって代替資産の取得を予定しているかによって、その除売却差額の会計処理が異なりましたが、今回の改訂によって、代替資産の取得を予定しているかどうかでは判断せず、除売却差額については、資本剰余金を増減させることとなりました。
  • 土地については、土地処分収入から国立大学財務・経営センターへの納付額を差し引いた額(国大等に現金としてとどまる額)を資本的支出に充てるか否かで会計処理が異なることになりますが、この点は改訂されていません(Q93-1)。

(2)間接経費の取扱いについて(科学研究費補助金等、受託研究)

【改訂の背景】

科学研究費補助金等については、一部の研究種目が「基金化」され、複数年度にわたる研究費の使用が可能になったことに伴い、間接経費の取扱いについても改訂の必要性が検討されました。

また、受託研究の間接経費についても科研費との整合性を図るため、改訂の必要性について検討されました。

【改訂の概要】

  • 科研費の間接経費の繰り越しについて以下の規定が新設されました。
    「科学研究費補助金のうち、複数年度にわたる使用が可能となった間接経費については、研究期間中において翌事業年度以降に執行する金額を、原則として、前受金として翌事業年度以降に繰り越すこととなる。」
    「翌事業年度以降に執行する金額」については、各国大等の予算配分や執行状況に応じて当該金額を認識し、翌事業年度以降においても同様の方法で継続して認識する必要があります。
  • 受託研究の間接経費については、以下のとおり改訂されています。
    「複数年度にわたる受託研究契約に係る間接経費については、原則として、翌事業年度以降に係る間接経費相当額を前受受託研究費等として翌事業年度以降に繰り越す取扱いとする。」
    間接経費については、従来、「当該年度に係る間接経費相当額については受託研究等収入として処理」と規定され、すでに複数年度にわたる受託研究契約を想定した取扱いが規定されていました。
    従って、受託研究に係る今回の改訂は、科研費の規定の改訂を受けて文言を整理したものであり、従来の会計方針の変更を求めるものではありません。
    科研費については「翌事業年度以降に執行する金額」と規定されているのに対して、受託研究については「翌事業年度以降に係る間接経費相当額」と規定されており、取扱いの内容が異なることにご留意ください。
  • なお、翌事業年度以降に繰り越す勘定科目について、科学研究費補助金については「前受金」、受託研究については「前受受託研究費等」と規定されていますので、ご留意ください。

(3)業務達成基準の取扱い

①事業計画について

【改訂の背景】

運営費交付金債務を繰り越す場合には、事業年度末において運営費交付金債務の負債性が求められます。業務達成基準を適用するケースが急増していることを受けて、業務達成基準を適用する上で重要となる事業計画について具体的に規定するため、改訂の必要性について検討されました。

【改訂の概要】

  • 業務達成基準を適用する際には事業計画を明確に策定する必要があること。
  • 事業計画の内容と中期計画等との対応関係が明らかになっていること。
  • 事業実施部門、事業責任者(代表者)、事業計画期間、事業予算が明らかになっていること。
  • 事業計画、事業予算が役員会等において適時に承認されていること。

②意思決定のタイミングについて

【改訂の背景】

翌事業年度へ繰り越す運営費交付金債務の負債性を検討する上で、業務達成基準を適用するプロジェクト等が計画的に意思決定されているかどうかが重要であるため、規定の明文化が検討されました。

【改訂の概要】

  • 事業計画における事業予算は、補正予算であっても、おおむね第3四半期末前後には確定していると考えられるため、年度計画予算において見込まれた事業については、事業年度当初よりその対象事業開始前に意思決定されていることが望ましく、また、補正予算後に実施すべき事業が明確になった場合には、その時点において遅滞なく意思決定されることが望ましいと規定されました。

③複数年度にわたる事業に対する業務達成基準を適用することについて

【改訂の背景】

翌事業年度以降に係る事業に対して業務達成基準を適用する際に、各大学の考えにばらつきが生じないようにするため、規定の具体化が検討されました。

【改訂の概要】

業務達成基準を適用するためには、以下の点が満たされていることが必要です。

  • 中期計画等との対応関係が明らかであること。
  • 予定された事業計画に対応して事業予算が確保されることが明らかであること。
  • 例えば、年度内に具体的に研究プロジェクトを立ち上げるなど、事業計画に照らし事業に着手していることが客観的に認められること。
  • 翌年度へ繰り越す運営費交付金債務額について学内で何らかの担保がされていること。

そのほか、業務達成基準を適用する場合には、以下の点に留意して今後の会計処理が漏れなく行われるようにしてください。

  • 事業終了時点において、当該事業に係る運営費交付金債務は全額収益化する必要があります。
  • 予定された事業目的を達成できないことが明らかとなった時点で、当該事業に係る運営費交付金債務は全額収益化する必要があります。
  • 事業目的を達成するために、事業計画を変更することは想定されますが、事業目的に照らして事業計画を変更する合理的な理由があり、また、変更後の事業計画においても、当然に中期計画等との対応関係が明らかでなければなりません。
  • 変更後の事業計画において、あらかじめ繰り越された事業予算のうち、支出する必要がなくなった場合には、当該金額に相当する運営費交付金債務を収益化する必要があります。

次回は、その他基準の明確化等に伴うものの観点から要請された改訂内容について解説します。

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