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「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(内閣府公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)を読む!

第1回 「26年度報告」の位置づけについて

2016.04.12
非営利デスク
シニアマネージャー公認会計士 松前江里子

内閣府公益認定等委員会から公表された公益法人の会計に関する研究会「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(以下「26年度報告」という)は、公益法人を運営する際に必要な事項が記載されています。わかりやすく、全8回に分けて読解していきます。

1. 「公益法人の会計に関する研究会」発足について

平成25年7月に公表された公益認定等委員会の決定文書によると、公益法人の会計に関する実務上の課題、公益法人を取り巻く新たな環境変化に伴う会計事象等に的確に対応するために同委員会で、公益法人の会計に関する諸課題の検討を行う旨が記載されています。

同委員会は、制度の円滑な運用のために、会計に関して検討が必要な課題があることを念頭におき、日本公認会計士協会及び公益法人側の双方から意見を徴収し、その中から検討する課題を整理し、どの課題から整理したらよいか順番を決めて検討することを決定したと考えられます。 

また、検討する体制としては、同委員会の下に「公益法人の会計に関する研究会」(以下「研究会」という。)を設置し、常勤委員会議で審議方針の整理を行い、その方針の下に研究会で検討を行い、最終的には同委員会で審議して、方針を決定することとされています。このように、研究会において専門的な見地からの検討を行い、同委員会がその結果を受けて最終的な結論を出す体制を整えており、報告書は、公益法人会計基準の設定主体である同委員会の決定事項であると考えられることから、公益法人が従うべき文書であると位置づけられます。

具体的に研究会は、公益法人の会計に関する学識経験者又は、公認会計士数名に参与を委嘱し、構成されています。また、同委員会との連携のため、公認会計士である常勤委員がオブザーバーとして参加されています。なお、報告書によると、公益法人関係者の意見等は、意見交換会やパブリックコメント、個別にヒアリングを実施することにより、反映される仕組みとなっていることが読み取れます。

2. 研究会の検討内容について

平成25年3月4日付で、内閣府大臣官房公益法人行政担当室より「特例民法法人に係る移行動向調査結果(国・都道府県)~移行期間の満了後を見据えて~」が公表されましたので、概要をご報告します。

同研究会では、内閣府が実施した「公益法人会計基準適用についてのアンケート結果、及び関係団体からの要望を踏まえ、財務三基準や財務三基準の数値の算定のために必要となる公益法人会計基準の課題を整理し、検討課題とされています。平成25年8月の発足以来、1年超の期間に亘り検討が行われ、平成26年度末に検討結果が公表されました。小規模法人の負担軽減策を検討の視点とし、公益法人は税制優遇を受ける社会的存在である一方、事業規模の小さく、体制の脆弱な法人も多数あり、制度の実行可能性の視点を軸に据えられた検討がなされた経緯が伺えます。

一つ目に、収支相償についての運用の弾力化が検討課題とされています。剰余金が発生した場合、翌年度の対応策の策定が求められていますが、収支の変動しやすい小規模法人は、複数年度を見据えた収支をみて、剰余金の使途を決めたいという要望を受けたものと趣旨が記載されています。

二つ目に、貸借対照表内訳表の作成の必要性、及び正味財産増減計算書内訳表における法人会計区分の義務付け廃止について検討課題とされています。作成の事務負担が相当程度発生することに対して、その必要性があまり認められないという要望を受けたものとの記載があります。

三つ目に、事業費・管理費の配賦基準の改善、会計基準に定められている「重要性の原則」に列挙されている事項で、小規模法人の負担軽減策に活用できるものはないか等が検討課題とされています。

四つ目として、小規模法人に簡便な会計処理を認めるにあたり、小規模とは、どのように定義をするかが検討課題とされています。

3. 報告書の適用について

上記2に記載の検討課題について、検討結果が平成27年3月26日に同委員会の決定を受けた報告書として公表されました。当該報告書について、前文によると、検討の結果は、ⅠからⅦに結論を記していることと、結論の中には、引き続き長期的に検討が必要な項目も入っている旨の記載があります。当該趣旨を考えると、要望を受けて検討をしたけれども結果として、現状のまま運用する項目、運用上で弾力化された項目、方向性や考え方が明示された項目、さらに実務上の検討が日本公認会計士協会との連携の下に委ねられた項目に分類できると思われます。これらの項目の中で、必要な項目を公益法人が選別し、適用もしくは、内部において考え方を整理し反映していくものと考えられます。

4. 会計基準の設定主体について

平成20年公益法人会計基準の策定は、公益法人制度に合わせて、同委員会が設定主体となっていますが、設定主体の在り方についても検討課題に挙げられていました。内容は、今後の法的条件、国際的な会計基準の変更など公益法人を巡る環境変化へ即応したメンテナンス責任の所在、民間設定主体の必要性をどう考えるかというものでした。これにつき検討の結果、報告書には、民間団体が設定主体となることは、会計基準が法令等の規定と関係の深いことから、技術面で合理的とはいえないという結論が記載されています。さらに、日本公認会計士協会で検討が進んでいる非営利法人全体に係る財務会計の概念フレームワークの構築の議論もみつつ、委員会の下に置かれている研究会が継続して検討していくことと記載されており、現状の運用のままであることが明記されています。


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