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「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(内閣府公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)を読む!

第7回 その他会計処理、開示情報

2016.06.13
非営利デスク
シニアマネージャー公認会計士 松前江里子

内閣府公益認定等委員会から公表された公益法人の会計に関する研究会「26年度報告」は、公益法人を運営する際に必要な事項が記載されています。わかりやすく、全8回に分けて読解していきます。

1. 事業費・管理費科目の考え方と表示方法

正味財産増減計算書の経常費用の項目は、事業費と管理費に区分して表示することが認定規則において定められています。認定基準において、事業費と管理費の区分はとても重要な項目と考えられています。事業費は公益目的事業に要する費用であり、他の費用と区分することで、公益目的事業比率算定における算定要素となり、また収支相償の算定要素、加えて遊休財産規制における上限額として必要な項目です。

(1) 科目の考え方と表示方法

事業費と管理費について、事業費とは事業の目的のために要する費用であり、管理費とは法人の事業を管理するため、毎期経常的に発生する費用と定義づけられます。

(2) 結論

(1)に記載のとおり、定義はガイドラインに記載がありますが、分かりにくい場合が多いため、以下の考え方も含め、事例が示されました。

  • 事業費
    当該事業に跡付けることができる費用であり、例えば事業に従事する職員の給与手当等の人件費、事業に関連して発生する交通費、事業の実施会場の賃借料等、業務執行理事の役員報酬のうち、事業への従事割合部分が該当します。
  • 管理費
    当該事業に跡付けることができない経常的費用であり、法人が存続していくうえで必要な経常的な費用です。個別の事業実施に直接関係のない役員報酬(理事・監事報酬)、評議員報酬や経理担当職員の給与手当等の人件費、社員総会、評議員会、理事会の開催費用、税務申告に係る税理士報酬、監査報酬等は、法人存続のために必要な経常的費用と考えられます。

2. 有価証券の会計処理

研究会発足時に、日本公認会計士協会から要望として、公益法人会計基準に記載のない事項で、企業会計基準に適用が定められているものの公益法人への適用について明示してほしい旨の要望が提出されていたことに対応したものの一つです。

(1) 検討の視点

現在、定められている有価証券の評価の基準、財務諸表の表示方法以外の詳細な会計処理については、「金融商品に関する会計基準」を適用するという考え方が従来から採用されています。

(2) 結論

具体的には、有価証券の保有区分により「その他有価証券」へと区分した債券については、償却原価法を適用したうえで、時価評価を行うこととなります。公益法人会計基準では、有価証券の運用による利息等と評価損益(売却損益)を明確に区分して表示することが求められていますので、償却原価法を適用したうえで時価評価する必要があることを明示することで、一層、会計処理の普及に繋がることが期待されています。

(3) 実務指針での対応状況

日本公認会計士協会から平成28年3月22日付で公表されました非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」において「その他有価証券に区分された債券の時価評価」について、財源が一般正味財産の場合と指定正味財産の場合に区分して具体的な事例と仕訳が示されていますので、実務において活用できるものと考えます。

3. 資金収支の情報

研究会発足時の要望の中に、資金収支の情報の開示について検討してほしいというものが挙げられておりました。資金収支ベースでの収支予算書及び収支計算書については、公益法人会計基準においては、作成を求めていないですが、多くの公益法人で、法人の内部管理資料として従来から引き続いて利用しているところです。

(1) 検討の視点

法人の事務負担の軽減の観点から、資金収支の情報を財務諸表等又は財務諸表等以外の適当な場所に記載できるかが検討されています。

(2) 結論

 資金収支の情報は、財務諸表等に記載することは適当ではなく、財務諸表等と区分して適当な場所に任意に記載することと、法人の内部管理資料として作成することは、問題ないとの結論が示されています。理由は、以下の通りです。

  • 財務諸表等の提出書類は、損益計算ベースで作成した資料であり、当該資料以外に提出を求めることは法人の負担を増やすこととなること。
  • 提出資料に追加の記載をすることを決めると、計算の基本ルールを定める必要が生じ、従前は、法人が任意で決めていた資金の範囲等を一定条件の下で決めることとなること。

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